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シュティフターという作家 [日々のよしなしごと]

 先日来、オーストリアの作家、アーダルベルト・シュティフター(1805-1868)の作品(小説)のいくつかに触れる機会があり、その印象がなかなか出会うことの少ない種類のものであったので、少し紹介したいと思う。
 私が読んだのは、岩波文庫から出ている「水晶、他三篇-石さまざま-」と、最近復刻された同じ岩波文庫の「森の小道・二人の姉妹」である。下の画像は、後者の表紙であり、写真かとみまがうほど写実的で美しい表紙の絵は、シュティフター自身の筆になるものという。
 小説のほうも、よく似た印象を受ける。どの作品も、淡々とした筆致で、精緻ではあるが、およそストーリーの起伏というものには乏しい。読者の心理を惹きつける作家の妙技にスポイルされた現代人への受けは甚だよろしくないだろうことと思われる。代表作と言われる「水晶」も、冒頭からクリスマスの何たるかという作家自身の講釈が数ページにたって続き、思わず勘弁してほしいなあと思ったほどである。だが、その行間からこぼれ出る「何か」・・・それがあるために、少しずつ読み進めることができた。
 結論からいえば、読んで大正解だったのである。ことにその「水晶」の清々しい読後感は、ちょっと他に比べるものが思い当たらないくらいだ。

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