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死人の峠 [日々のよしなしごと]

 京都にいた頃、市街の北方からはるか丹波に連なる山々を、バイクで巡るのが好きだった。普通はもちろん、昼間に出かけるのだが、一度だけ、思い立って夜の山道を走ったことがある。

 それは、秋の深まる日の夜だったと思う。京の下町にある自宅を出たのが8時ごろだっただろうか、西大路から今出川通りへ、夜の市街をゆっくりとバイクを転がしていった。鴨川にかかる橋のたもとで北へ曲がると、大好きな加茂街道である。鴨川の堤をゆくこの美しい道。だが、ものの十数分、川をさかのぼってゆくと、京の盆地は早くもどんづまりを迎える。その先は、ひとつの街灯もないような、か細い山道が曲がりくねって12キロ先の山奥の集落へと続いているだけだ。
 その集落の名を「雲ケ畑」という。鴨川の源流にあるささやかなその村は、まさに鴨川の源流にあるがゆえに、古来ひとつの決まりごとがあったらしい。それは、村に死者が出ると、村人総出で遺体を運び、峠を越えて別の谷までそれを運んで荼毘にふさなければならない、ということ。帝の飲み水にもなる鴨川に、死人のケガレが入ることを忌んだからである。そうしてその死人を持ちあげて行った峠を「持越峠」といい、今も残っている。

 さて、私は夜の山道を、その持越峠へ向かっていた。ちょっとした肝だめし、くらいの軽いノリである。・・・・

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水上勉の「櫻守」を再読する [日々のよしなしごと]

 水上(みずかみ)勉は、私がひそかに読み続けている作家のひとり。私と水上作品との出会いは、今は絶版となってしまった新潮文庫「霧と影」だった。単なるミステリーとして読み始めたその作品は、推理小説とはいうものの、何やらただならぬ、くろぐろとしたものが奥に潜んでいるような気がして、まだ中学生だった私をおびえさせた。

 確かに、水上氏の作品は、人が持って生まれた宿命というか、そうした人間というものの悲しみややるせなさが、あたかも怨念のように籠っているものが多いように思う。とくに、初期の作品には、救いようのない、人生の暗い淵をのぞいたような後味の悪いものも多いし、だから水上は嫌いだという人もいよう。

 しかし、そんな人にも、この「櫻守」だけはおすすめしたいと思う。

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和歌山のイルカ漁を題材にした映画「ザ・コーヴ」アカデミー賞受賞に寄せて [日々のよしなしごと]

私はまだこの映画を見ていない。機会があれば一度拝見してみたいものである。
私など、この騒動?を通じてイルカ漁の存在自体を初めて知ったくらいだ。
イルカなぞ美味いのだろうか? 私はそんなものを食べてみたいとは全く思わない。

しかし日本のある地域で、そのようなものがあっても不思議ではないとは思う。
またそれが、歴史的にさまざまな事情あって成立している伝統文化なのだろうということは
容易に想像できる。

私は日本人である。
だから、日本の一地域にそういう伝統があるのなら、自分とは直接関係がなくとも大切にしたいし、
他国の人から色眼鏡で見られて映画化されたのなら、素直にそのことに対して怒りたい。

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