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バルセロナ 1999 [ヨーロッパの町紀行]

 列車を降りるやいなや、ここは僕の生まれた街に似ている、と思った。なんとなく、がやがやざわざわしている。皆、一応はまじめな顔つきをしているくせに、である。格別晴れやかにも見えなければ浮かぬ顔にも見えず、老若男女、ただ同じように小市民の顔をぶらさげているばかりである。この街が、芸術の大家や奇抜な建築を生むというのがどうもよくわからない。

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 土曜日の朝、ランブラス通りは底抜けに賑やかだ。花売り、小鳥売り、大道芸人、・・・この街ではウソなんてつけやしない、と思った。日が暮れてからは、グラシア通りだ。家族連れや仲間達が、徒党を組んで丘の上から、街へと降りてくる。
 誰もが幸せそうに見えた。日々の暮らしの中で、皆、大切なものを育んでいる。そのことへの合点というか、ささやかな誇りのようなものを、持っているのだと思った。そこには、夢とか志などという大それたものはなさそうだった。夜がふけ、日付が変わり、電車やバスがなくなっても、通りの満ち足りた風情はおとろえず、ますます輝きを増すようだった。私は、しだいに気恥ずかしくなって、宿へとって返した。

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 街を出る前の日、郊外にできたあたらしいオフィス街を訪れ、闊歩するビジネスマンたちを眺めていた。小さくても、できるだけのもの、確かなもの、ステディなもの。すべてはそこから始まる。年配の紳士が、道端で夢想する僕を見て、かすかに微笑んで去った。
 僕は、長かった旅の終わりを感じた。

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撮影 1999年3月
本文 1999年3月

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